道(たお)の二次元道

二次元大好きな私が、作品の感想についてを書き綴る

英国王のスピーチ あまり気乗りしない感想

2010年に公開された歴史ドラマ映画

タイトルの通りそのまんま英国王のスピーチでそれ以上でも以下でもない

 

特に区分せず、思ったことをざっと書いてしまう。

 

まず第一にこの映画は、史実である。

第一次世界大戦を経て、第二次世界大戦を迎えるイギリスが舞台となっている。

歴史的背景に乏しいが、本映画はそこまで歴史的知識を必須としているわけではないので見やすい部類に思える。

 

第二に、この映画は歴史ドラマを舞台とした友情サクセス物である。

主人公であり、王位を継承することになるヨーク公(ジョージ6世)は吃音であり、その吃音を治すライオネルとの関係性がメインである。

ただ、私個人としてこの友情物として見たときにイマイチ友情描写に不満を感じる。

4~5歳の頃より吃音を患い、長年苦しい思いをしてきたヨーク公であるが、それを治すために奮闘するライオネルとの関係性は確かに美しいものであるだろうし、王であるヨーク公と対等な立場で接しようとするその姿勢も確かに友情を育んでいると言えるのであろう。

 

ただ、二人の関係性を表す時間があまりにも不足しているようにも感じるのだ。

ここで簡単に本映画の時系列を並べたい。

1925年 映画冒頭のヨーク公の演説

1934年 いくつかの治療を経て、ライオネルの下で治療を行うことを開始

1936年 ジョージ5世の崩御

1939年 ラジオでの演説

 

1934年に出会い、1939年に演説を行う。

なるほど、約5年もの間主治医を務め成功に至るとみれば確かに友情を育んでいてもおかしくないようにも思える。

では、この違和感はどこからやってくるのだろうか。

 

思ったのは、あくまでこの作品は英国王のスピーチであるのだ。

英国王たるヨーク公が、吃音を改善しスピーチを行うのがゴール地点である。

いくら友情を育む描写を重ねたところで(個人的にはその描写も甘く感じるが)ただの橋渡しの助演にしか過ぎない存在がライオネルになるのだろう。

 

最後のスピーチを経て、モノローグとなった所でライオネルに対しロイヤル・ヴィクトリア勲章を授与した所で英国王のスピーチ英国王のスピーチたる所がわかってしまったのだ。

対等であろうとした関係性であるが、このモノローグでいきなり二人の立場がイキナリ引き戻されたのだ。

吃音を治すために奮闘する友人という関係性はここにおいて崩れたのである。

 

以上を持って、英国王のスピーチの感じたことを終了したい。

アカデミー賞など数多の賞を受賞された作品であり世間的な評価は非常に高いものであるが、やはり最後のスピーチを終えた所で感動もせず何とも言えない気持ちになったためこのような感想を述べさせていただいた。